平成19年度研究事業
女性と仕事の未来館・OSH−SQUARE 視察報告



平成19年度の研究事業として、去る1122日に東京都港区にある「女性と仕事の未来館」、「OSH−SQUARE」へ視察に行きました。趣の異なる施設ですが、職場環境というものを改めて考えるいい機会になりました。


女性と仕事の未来館     http://www.miraikan.go.jp

 女性と仕事、と聞くと「男女雇用機会均等法(1986年施行)」が頭に浮んできます。当初は女性に対して均等に機会を与える努力義務を負うというもので、その後2回の改正(1999年施行:女性に対する差別禁止、2007年施行:男女双方に対する差別禁止)を経て、その時代にあった法整備がなされ、働く女性やその家庭を支援する施設が増えてきているようです。


〜 施設コンセプト 〜

「働く女性、働きたい女性に対して、一人一人が働くことの中に自分自身の可能性を発見し、その可能性を広げていけるよう支援するための様々な事業を総合的に展開することにより、女性たちが生き生きとした自分らしい働き方を実現できるようにサポートします」

〜 6つの事業 〜

1.能力開発事業
   キャリアアップセミナー(学生向けも)

     起業セミナー

2.相談事業
    キャリアカウンセリング・法律相談

  3. 展示事業
     明治〜現代の働く女性のあゆみ

  4. 情報事業
    ホームページなどによる情報発信

  5. ライブラリー事業
   「女性労働」の専門書、関連資料の閲覧

  6. 交流事業
    各種団体・グループ間のネットワーク作り


写真:明治〜現代の働く女性のあゆみの展示




OSH−SQUARE     http://www.jaish.gr.jp
(産業安全技術館、VRシアター、3Dシアターの総称)

 昨今、耳にすることの多くなったOSHMSOccupational Safety and Health Management System):労働安全衛生マネジメントシステムですが、「すでにあらゆる職場の事業主側・作業者側双方において安全配慮・健康管理などの活動は継続して行われてきており、これら活動を体系化し“計画段階からきちんと取り組む”ことが大切で、それこそが更なる危険リスク低減や体調管理の意識付けにつながる。」という言葉が印象的でした。


〜 施設概要 〜

 産業安全技術館

 労働安全衛生に関する展示を行うわが国唯一の施設として、労働災害発生状況等に対応した安全衛生技術情報の発信と実際の安全装置等の展示物を使用した安全衛生教育活動を通じて、労働安全衛生水準の向上に資することを目的とした施設です。

【電磁ノイズによる危険性】

 工作機械やコンベア、検知センサーなどが電磁ノイズの影響を受けて誤作動を起こす危険性を示しています。近年の携帯電話の普及もあり、作業者や職場見学者が所持する携帯電話からの電磁ノイズが原因とされる事故事例の紹介もありました。



【その他 様々な展示コーナー】

 取扱者の不注意・失敗で事故となっても災害を極小にする為の安全装置、工具、システム、保護具などの展示が充実していました。 新卒者の研修で来館されるケースが多いようですが、「特に入社2〜3年、もしくは現場リーダーの層に見てもらいたい」とのことでした。




VRシアター】

 コンピュータグラフィックによる仮想の作業現場において、現実の世界では体験できない危険な状態や災害を体験することにより、安全管理能力の向上が期待できます。
 事故事例の紹介ごとに簡単なクイズがあり、危険箇所を探し出すための自分自身の感性を再確認できます。



Dシアター】

 危険な状態や災害発生の状況が立体映像で映し出され、現実に発生した重篤な労働災害やヒヤリ・ハット事例を体験し、危険に対する感受性を高めることができます。




 視察を終えて


私たちは常日頃より、労働災害の防止や危険リスクを低減するために様々な活動を継続してきています。それら活動をより良いものにするためには作業現場の実態に即したものでなければなりません。機械的に災害防止機構・感知センサーなどを整備する場合には、実際の作業者の個体特性(身長、体格、利き手、癖など)も考慮すべきであることの重要性や、常に現場を見て、そこに潜む危険を予見する“感性”を持ち続ける必要があるということを、展示や説明員の方のお話を通して改めて感じることができました。

最後に、労働災害の危険リスク低減のためには、作業者の体調も重要であり、外傷や疾患に対する自己管理も必要だと思いました。(「労働安全衛生」の“衛生”にあたる部分でしょうか?)つまりは、健康な心身で業務に従事することが大事です。

現代社会を鑑みると、残念ながら職場には少なからずセクシャルハラスメント・パワーハラスメントが存在しています。個人又は会社組織による「メンタル管理」「ケアサポート」もこれからの災害防止にとっておろそかにできないという気がしました。

作成:ヤマハ発動機(株)総務部環境・施設グループ
濱北 直樹 様